キミのとなり。
「ま、欲を言えば、智明よりも俺のこと考える時間が多くなればいいかな」


そう言って修ちゃんは、にっこり笑った。


「うん……」


いつもの修ちゃんの笑顔に、つられて私も顔がほころぶ。


「ん? それって考えてくれるってこと?」

「……あっ、違っ!いや……えっと……」


私があたふたしていると、

「飯、何にする?」

修ちゃんはクスクス笑って、繋いだ手を引いた。




手を引かれて入ったのは、駅からちょっと離れたイタリアン。


一度来たことがあるけど、大人っぽい雰囲気のわりに安くておいしい。


「2名様ですか?」

「はい……っと」


案内されるのかと思ったら、修ちゃんの足は止まったまま。


「どうしたの?」


修ちゃんは一度困ったような顔で私を見て、それから視線を店内へ向けた。
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