キミのとなり。
「そう。……ねぇ、ケーキ食べない?」

「え?」

「直人さんも智明もいないし、つまんないのよねぇ」


「そ、そうなんだ」


トモは……先輩とデート中だもんね。


今はトモの顔見るの、つらい。


でも、遅くても月曜日の朝には、また顔合わせなきゃいけないし……。


「今日、お友達にもらったの。おいしいらしいわよ?」

「……わかった。今行くね」


さっきのやつ、食べなくてよかった……。




ドアの前で大きく深呼吸をして、椎名家のインターホンを押した。


「どうぞー。紅茶淹れようと思ってるけど……いい?」


キッチンへ向かいながら振り返った美佳ちゃん。


「あ、うん」


いつもと何も変わらないのに、なんだか居心地が……。


いつトモが帰ってくるか、ドキドキしてるのかも。


とりあえずローテーブルのあるソファに座った。


「お待たせー」
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