キミのとなり。
三家族の間に隠し事なんてほとんどなくて。


パパの転勤騒動のことも椎名家との約束のことも、もちろん和泉家も知っている。



「……カバン、取ってくるね」


そう、逃げたってしょうがないし、逃げられるもんじゃない。


昨日、修ちゃんも言ってたけど、お隣さんで幼なじみに変わりないのはトモも一緒。


「お待たせ」


鍵を掛けたことをきっちり確認して、修ちゃんと一緒に椎名家に向かう。



……っていってもすぐ隣だけど。


朝に限っては勝手に入っていいことになっている。


「おはよー……」


様子を見ながらリビングへ足を進める。


「挙動不審」


そんな私の後ろで修ちゃんがクスクス笑ってる。


だってー……。


「ちーちゃん、修ちゃん、おはよう」


リビングに入ると、キッチンに立っていた美佳ちゃんが振り返った。


「おはよう」


今日も直人くんはもう出てしまったみたい。


慶くんもだけど、直人くんも結構忙しいらしい。



……あれ?


食卓にもリビングにも、トモの姿がなかった。


まだ寝てるのかな?
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