キミのとなり。
「おはよー」
教室に入り、クラスメイトと挨拶を交わしながら自分の席に着く。
「ちーちゃん、おはよっ」
「美咲。おはよう」
カバンを机の脇にかけていると、美咲は私の前の席に後ろ向きに座った。
「今日、私、部室の掃除当番だったから、朝のうちにやっちゃおうと思って早く来たんだけど」
「そう言えばそうだったね」
サッカー部では、部員もマネージャーも関係なく部室掃除が当番で回ってくる。
私、次はいつだっけ……。
美咲の話を聞いてそんなことを思っていたら、
「智君がね……」
トモの名前を聞いて、思わず肩が上がった。
「一人で部室掃除してたみたいなんだよね」
……よかった、美咲は気づいてないみたい。
「……え? でも……」
「そう。おかしいでしょ?」
トモが所属するバスケ部は確か、部室の掃除をするのはマネージャーの仕事だったはず。
「自主練のついでとかだったのかな?」
美咲は顎に手を当てて首をひねる。
「そう……かもね」