キミのとなり。
冷たい表情
──トモが朝食の席にいなくなってから1週間が過ぎた。
最初は心配してた美佳ちゃんだったけど、トモから“部活でいつもより早く出る”と言われたらしい。
……そういえば、美咲が“もうすぐ試合がある”とか言ってたっけ……。
でも、私は、なんとなくそれだけじゃない気がしていた。
修ちゃんも同じことを感じてるみたいだけど。
あえて私からそれに触れることはしなかった。
触れてみたところで、どうしたらいいか、わからない……。
「おいしい?」
美佳ちゃんが向かいの席から私の顔を覗き込んだ。
「うん、おいしいよ」
今日は美佳ちゃんの手作りベーグルのサンド。
美佳ちゃんはホントに料理上手。
お店で美味しいものを食べると、自分でも作ってみたくなるんだとか。
「美佳ちゃんはうちのママより上手だよね」
そんなことを言ってみたら、
「由貴ちゃんに怒られるわよ」
なんて言って笑った。
……美佳ちゃんも、この空間に流れる空気の違和感、みたいなものに気づいてるのかもしれない。
「修ちゃんは勉強頑張ってる?」
今度は修ちゃんに話を振った。
美佳ちゃんは実質、私たち3人の母親のようなものだ。
「まぁ、そこそこに」
コーヒーカップを手に微笑んで、だけど曖昧に答える修ちゃん。
「そうよね、修ちゃんだもんね」
「なに、それ?」
そう言われて、修ちゃんはちょっとだけ困ったように眉を下げて笑った。