キミのとなり。
トントン
耳を塞いで考え事をしていたせいか、肩を叩かれて思わずビクッとしてしまった。
もしかしたら呼ばれてたのかもしれない。
振り返ると、パパのTシャツにスウェットを着て、タオルで頭を拭いているトモがいた。
「そんなにビビることねーじゃん」
トモはそう言うと、ようやくソファに腰を下ろした。
薄暗くてあまり表情がよく見えないけど、今はこれくらいのほうがちょうどいい。
私は、トモに半分背中を向けるようにして、直接床の上に座っていた。
トモの後ろには窓があるからだ。
「お前、まだ雷怖いの?」
「しょ、しょうがないじゃん!」
カーテンを閉めていても視界の端に光る物を見るたび、大きな音がするたびに肩をすくめてしまう。
……昔、雷が鳴るといつも、トモが傍にいてくれた気がする。
『雷なんて怖くねーよ』
『俺が守ってやるから』
小さかったトモの声がする。
トモがいるから、さっきよりは安心してるのか。
それでもまだ小さく震えている左手を、自分の右手でぎゅっと握り締めた。
──空気が動いた気がしたと思ったら、トモの香水の香りがすぐ近くでする。