キミのとなり。
急に名前を呼ばれて、思わずビクッとしてしまった。


「お前は? どうなの?」

「……わた、し?」

「修平とは、どーなってんの?」


修ちゃんとは……。


何て言ったらいいかわからなくて、でも、首を横に振った。


つき合ってるわけじゃない。


でも、違うって言い切っていいものか……。


「……してたじゃん」

「え?」


最初の方が小さくて聞き取れなかった。


「キス、してたじゃん、修平と」


相変わらず真っ直ぐな視線を向けてくるトモ。


“キス”と言われて、今トモとしたキスが頭をよぎって顔が熱くなる。


「えっ……い」

修ちゃんと、キス?

いつ?

どこで?

──思いつかない。


「DVD、取りに行った時」


DVD?


トモの言葉を頭の中で繰り返す。


DVDを取りに来た時って、修ちゃんちに?


……あっ。


「ちがっ、あれは……」


きっと、涙を拭ってもらってた時のことだ。


「あれは……私が、泣いてたから……」

「なんで?」


トモが容赦ない質問をぶつけてくる。


その時、携帯の着信音が鳴り響いた。
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