キミのとなり。
私の上に戻って来たトモの体重で、再びソファの端っこが沈む。


「……怖い?」


声と一緒に、顔を覆っていた手が取り払われた。


トモがその手に、自分の指を絡めて握る。


「すこ、し……」


正直に答える。


だって、初めて……だし。


「優しく、する」


トモはそう言うと、繋いだ手を離し、着ていたパパのTシャツを脱いだ。


薄暗くなった部屋の中、鍛えられて引き締まった裸の胸が視界に飛び込んでくる。


「ちょ、まっ……て」


やっぱり恥ずかしくなって上げた声に、トモは私の手を取って自分の胸に当てた。


「俺だって……緊張してる」


裸の胸に当てられた手から、トモの心臓の音が伝わって来た。


……私と同じくらい、早い鼓動。


それに、薄暗い中でも少しだけ赤いように見える顔。


「千鶴がいやなら、無理にはしない。気持ちの準備が出来るまで、待ってる」


いやなわけじゃない。

離れたいわけじゃない。


でも、急な展開で気持ちがついていってないことも確かで……。


返事をしない私を、トモは優しい表情で見つめていた。


「ずっと待ってたんだ。まだ、待てるよ?」
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