キミのとなり。


ピリリリリ



心を決めて、目を閉じてトモの手を受け入れる、つもりだったのに。


ふいになった家の電話。


今度は2人して、体を震わせた。


目を開けると、すぐ近くにトモの困り顔。


「出な」


私の上から下りると、頭を掻きながらソファに寄りかかった。


邪魔された、のか……助かった……のか。




「も、もしもし?」


思わず声が上ずってしまう。


『千鶴?』

「……ママ?」


それは久しぶりに聞くママの声だった。


……タイミング、良すぎじゃない?


『そっちの方で雷鳴ってるって、天気予報で言ってたけど、大丈夫?』

「あ、うん」


トモを見ると、なぜか姿勢を正してバツの悪い顔をしていた。


『最近子供たちが元気ない、って美佳ちゃんが心配してたわよ?』

「そ、そう……」


何て言っていいか、返事に困ってしまう。


でも、気まずかった関係も終わった、のかな?


「だい、じょうぶだから」

『そう? ならいいんだけど』

「ママ、それだけ?」


あまりにもタイミングが良すぎて、どこかで見てるんじゃないかと思ってしまう。
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