キミのとなり。

「おはよー」


すぐ隣のドアを開けた。


今日も椎名家に顔を出す。


「ちーちゃん、修ちゃん、おはよう」


振り返った美佳ちゃんがにっこり微笑んだ。


……あれ?


トモがいない。


今日からはいると思ってたんだけどなぁ。


「智明は? まだ朝練?」


修ちゃんが座りながら美佳ちゃんの背中に声を掛けた。


「それが今日はまだ寝てるのよ。そろそろ起こさなきゃ」


困ったようにため息をついた美佳ちゃん。


「千鶴。起こしてきなよ」


修ちゃんはニヤッと笑って言った。


……何、その笑み。


修ちゃんって、たまにそういう顔するよね。


「美佳さん準備してるし、ほら」


そう言って背中を押された。


「ちーちゃん、よろしくね」


美佳ちゃんの声にも背中を押された。


……なんか、ハメられた気分になる。


でもホントに起こさないと遅刻しちゃうし。


今通ったばかりの廊下に戻り、左のドアをノックした。


「トモー……?」


一応外から声をかけてみるけど、反応がない。
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