キミのとなり。
近付いてきたトモはなぜか、私の上履きを脱がして体の両脇に手をついた。

トモの体重がかかった分だけ布団が沈み込む。



「ト……トモ……?」

近い距離で見つめられて、心臓がドキドキと音を立てる。


まさか……ここで?

だって……初めてなのに?




「千鶴」

低く囁くように名前を呼ばれ、そっと唇が重なった。


「……ん」


角度を変えて、触れるだけのキスが繰り返される。


「ト……モ」


呼吸の出来ないようなキスじゃないけど、どうしたらいいかわからなくて、トモの胸元辺りのシャツをぎゅっと握った。





「待っ……て」

「待たない」


「でも……だって……学校だし……」

「……何が?」


唇が離れ、すぐ近くの距離でトモが私を見つめている。


「何がって……その……」

だって、ベッドがあるし……って、そういうことでしょ?





「……千鶴のえっちー」

トモは唇の端を持ち上げてそう言うと、私をふわりと抱きしめた。



「……ト、モ?」

「こんなトコじゃ、しない」

「……え?」


「大切なのに、こんな所でしたりしない」


「…………」


そのセリフに顔が熱くなっていく。


だけど──。


ちょっとだけ顔を動かすと、トモの耳も少しだけ赤くなってて……。


「……耳、赤いよ?」

「……黙れ」


抱きしめられた腕に、少しだけ力がこもった──……。





end
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