country song
逢
一昨年の雪が降るある日のこと。
俺は友達のタカシの家で、うどんを食べていた。
こいつの家は、小さなうどん屋だった。
『タカシ、冬休みどうすんの?』
「俺はここの手伝いばっかりだなぁ。純は?」
『俺やることないよ。まぁ、こないだ知り合った先輩と遊んだりかな』
「いいよなー、純年上キラーだし。
…そういえばさ、こないだ1つ上の女が働きたいってきてさ。でもまだ中学生だから、高校生になったら雇うって、親父が説明してた。
その人すっげー美人でさ。冬休みは慣れとくために、手伝いにくるらしいよ」
『へー、美人か』
タカシが言う美人は、範囲が広い。
こないだ俺が知り合った先輩たちのことも、美人だと言ってたし。
俺は美人だとは思わない。とりあえず年上で化粧をしていれば、タカシにとっては美人なのだろう。
例えば今テレビの中にいる芸能人も、俺は言うほど美人だとは思わない。
『美人ってどんなんだろ』
俺らには、まだその基準さえないのかもな。