向日葵に恋した太陽
向日葵に恋して
「あっちぃ……」


じりじりと照りつける太陽の下、満開の向日葵の花束を抱えて俺はただひたすら歩いていた。


雑草だらけで、所々崩れかけている石段ばかりの山道を、一歩、また一歩と踏みしめるように登っていく。


この一年間、毎月一度は通った歩きなれた道。
それでもこの真夏の暑さと、喧しい蝉の鳴き声に体力を奪われて、いつも以上に辛く感じられた。


「ったく、老体に鞭打たせるようなことしやがって。こんな時期にいなくなるんじゃねぇよ」


ようやく目的地である山の中腹に辿り着き、ちょこんと控え目に建てられた墓石の前で思わず愚痴を溢した。
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