私の夫は王になれない俺様
「わからない…ですって?
新婚初日よ?
私たちはさっき神に愛を誓い合ったばかりよね?
なのに、今夜はここで『ハイ、さよなら』ってわけえ?
へえ…そうなんだ
いいわよ? 別にぃ
『ハイ、さよなら』で、望むところよ
私は恋人と引き裂かれたばかりで、むしゃくしゃしているのよ
いいわよ、いいわよ、気にしないわ
何もなくても、全然、気にしないんだから
ハイ、さよなら
おやすみなさいねっ、私の旦那様!」

私はキッと睨むと、メイドが開けてくれたドアに吸い込まれるように室内に入った

私はズカズカと部屋の中央まで来ると、振り返った

だってなかなかドアが閉まらないから

どうしたのかな?って思うじゃない

だから私は開いているドアの向こうにいる男を見つめた

顔を真っ赤にして、目を大きく開いて笑いを堪えているロバート様が立っていた

「わ…笑いたければ笑えばいいじゃない!」

私の言葉が、彼の最後のボタンを外したかのように…大声で笑い出した

廊下にロバート様の笑い声が響いた

お腹を抱えて笑い崩れるロバート様の周りに、男たちの輪が広がった

あっという間に、ロバート様の御姿が見えなくなる

騎士に囲まれたロバート様は、まだ中央で笑っている

な…何よ、笑い過ぎなのよ!

何がそんなに可笑しかったのよっ
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