私の夫は王になれない俺様
「私、ジェイミーに手紙を書こうかと思ってます」

母の墓から馬に戻る最中、イザベラが遠慮がちに話しだした

「書かなくていい」

「え?」

「あいつには手紙を出すな
男としてのケジメをつけたかっただけだろう
イザベラが来ないとわかっていての…行動だったような気がする」

たとえ、イザベラが来ても全てを投げ捨てる覚悟はあったのだろうが、な

でもイザベラが来ないと思っていただろう

ロバート家を裏切り、イザベラの家までの背を向けて…イザベラが好きな男の胸に飛び込めるような女ではないと知ってるはずだ

全てに背を向ける勇気…投げ捨てて好きな男の元に走る馬鹿な女にはイザベラはなれない

賢いから

先の未来を予想できるから

ハイランドにある家を思うなら…ジェイミーの将来を考えるなら

感情のまま、好きな男のもとへと走るなんてしないだろう

「ジェイミーは必ず、俺が落とす
あいつはハイランドをまとめる力を持っている」

「ジェイミーに惚れた?」

「ああ、魅力のある男だ
ぜひ信頼関係を築きたいね」

「なら、私…ジェイミーに嫉妬しないと、ね」

イザベラがにこっと笑った

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