私の夫は王になれない俺様
「ナニよ」

私はぼそっと呟くと、唇を尖らせた

なんか、私がいじめたみたいに見えるじゃない

心に傷を負ったのは私のほうよ

新婚初日に妻としての仕事すら…目の前で笑い転げてる奴に放棄されたのよ

「さすが、ロバートの奥さんだよ」

身体が大きい男性が私に近づいてきた

確か…ロバートの従兄のイサンだったわ

「私、何もしてないわ」

「そう? じゃ、なんでロバートが笑ってるの?」

「勝手に笑ったのよ」

「でも笑うきっかけを作ったのはイザベラ様でしょ?
あいつが笑ったのを見るの…すごく久々だよ
あいつの祖父が王位継承争いで負けてから…ずっと塞ぎ込んでいたんだ
時々、部屋で暴れたりして…手に負えなくて大変だったんだから」

イサンが笑顔で教えてくれる

笑ってなかった?

ずっと?

「王位継承争いって去年の11月には決着がついていたわよね?」

「そうだよ
だから11月から今日まで、約5ヵ月間、あいつは笑ってなかったって計算になるよね」


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