私の夫は王になれない俺様
「で? 嘘をついた理由は?」

「は?」

「だから、イザベラに、俺が笑ってないとかいろいろと嘘を吹きこんでいただろ?」

「ああ…迷える子ヒツジ的な男子にしておけば…むすっとしてるロバートに愛情がもてるかと思ってな」

「余計なことを」

俺はソファに座ると、足を組んだ

「何が迷える子羊だよ」

俺がぼそっと吐き捨てる

「横取り作戦はうまくいった?」

「あのなあ…うまくいったから、俺はこうして妻を貰ったんだろうが」

「なら…こんなところにいるより、新妻のもとに行ったほうがいいじゃない?」

俺はイサンと目を合わせ、ゆっくりと呼吸をすると、肘かけに肘を置いて指先でこめかみを叩いた

「行かねえよ
イザベラはまだ俺を好きじゃねえ」

「そりゃあ、当たり前でしょ
恋人がいたのに、無理やりハイランドからローランドに連れて来て、結婚して、夫婦になって…
これでいきなり『あなたが好き』なんて言うとでも、期待してたのか?
『あなたが嫌い』っていうのが予想できても…『好き』って感情を期待しちゃあ…まずいんじゃないの?」

「わかってるよ…んなこと」

知ってるさ

俺に好意なんてなくて、マイナスなイメージしかないなんて

わかってる
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