私の夫は王になれない俺様
でも、つい吐きだしたくなった悪口はゲール語で話せば通じないってことね

それはちょっと嬉しいかも

心の中にとどめておくのは辛いもの

この城に…セントアンドリュース城には、私の心の拠り所となる人は誰一人としていないから

乳母も、メイドも使用人も全て、連れて来れなかった

今まで育ってきた環境も、親しい人たちも全て置き去り…

ここでの生活は、すべてが新しくそして…知らないモノばかり

メイドも家具も…ドレスも私の知らないモノ

親しい人間もいない

城内で喧嘩の種になりそうな物は排除していく…という昔からの暗黙の了解だ

妻となる女が、連れてきた従者たちだけと固まり、不穏な動きとならないために…

最初から連れてこない

連れて来てもすぐに、元の城に帰すのが当たり前

妻だけが孤立する

夫の一族のために、子を産む道具となり果てる

もしくは政治のために使われるだけ

子を産むのさえ、必要とされない場合だってある

私はどんな目的で、キャリック伯ロバートの妻になったのだろう

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