私の夫は王になれない俺様
私が椅子に座ると、隣にいるロバート様も腰を落とした

大広間には音楽が流れ始める

楽団が、楽器を持って引き始めたのだ

そのリズムに乗って、スコットランド中から集まってきた貴族がダンスを始めた

馬鹿みたい

心から祝福なんてしてないくせに…

ダンスだけは楽しんじゃって

きっと男女で手を取り合って、私たちの結婚の意味をあれこれ詮索しているのよ

勝手な妄想とことばで…ハイランド地方の私を馬鹿にするの

将来有望なロバート様にはふさわしくない…とか言うんでしょ?

「ロバート様はダンスのなさるのですか?」

私が隣にいる夫に話しかけた

夫に…ダンスの有無を聞くのって変な感じだよね

ロバート様はまっすぐに前を向いたまま、ふっと口を緩めた

「出来れば避けたい事柄の一つだ」

それは…踊りたくないってことね

あっそ

なら、私から誘えないじゃない

ダンスでもいかが?って言えないわ

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