私の夫は王になれない俺様
「まあ、どちらにしても俺にとっては、どうでもいいが
見当違いも甚だしい限りだ
ベイリャルが送った人間が、アンドリューでなければ、俺は今すぐにでも首を斬っていた」

俺は肘掛に腕を乗せると、足を組みかえた

やっとアンドリューが振り返ると、ふわっと笑みを見せた

大股で歩くと、俺の向かい側のソファに座った

「国王陛下は不安がっている
このままでは、精神を病んでしまうだろう
ジョン・ベイリャルがどうなろうと俺には関係ない
だが、国王不在になるのは困る
できるなら、すぐにでもロバートに王になってもらいたい
が、まだ早すぎる
不能であろうが、阿呆であろうが、今はベイリャルが王であるのが妥当だろう
エドワードⅠ世に逆らえば、国は滅ぶ
機が熟すまで、まだしばらくの時間が必要だろう」

アンドリューが真っ直ぐに俺の目を見て口を開いた

そういうこと、か

俺に警告しに来たんだな

「機が熟すのは、いつだ?」

アンドリューが肩を竦めると「さあな」と皮肉っぽく笑った
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