私の夫は王になれない俺様
「俺の師匠は、優秀な弟子を気に入らないらしいな
女を使って、下剋上でもすると思っているのか?」

「ま、その通りだな
あっちは南の女を味方にしているからなぁ
北の女を味方にしたお前が怖いんだろう
北の女の胸は大きいからな
寒さに強い男がバックにいる」

アンドリューは誰に聞かれても平気なように、直接的な言葉を避けて会話をしていた

北…とはハイランド地方のこと

つまり俺がイザベラと結婚したことで、ハイランド地方の力を手に入れたと国王たちに思われている

南…とは、イングランドのことだ

国王となったジョン・ベイリャルはイングランドの王族を妻にしている

だから…イングランド王エドワード1世に、スコットランドの王として選ばれた…と言っても過言ではない


「南の女だって同じだろ
あっちは戦いに慣れている」

「凶暴な女に、男は弱いから
爪で背中を引っ掻かれたら、お前の師匠は腰ぬけだよ
一日中、ベッドから出られないぜ」

俺は鼻で笑うと、立ち上がって両腕を大きくまわした

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