私の夫は王になれない俺様
「ようっ!」

アンドリューが片手をあげて、俺に近づいてきた

「帰るのか?」

「ああ、帰る
陛下には、ロバートは若い妻にすっかり溺れて堕落した生活をしてました…って伝えておくよ」

俺はふんっと鼻を鳴らして笑った

「信じないと思うぞ」

「ああ、全く信じないね
すっかり疑心暗鬼だからなあ
誰が何を言っても、信じないし、疑ってる
誰もが敵に見えて、不安なのだろうよ」

「そんなことで、弱っているようじゃ
王失格だ」

「なりたくて、なったのに…その地位についた途端、弱い男になった」

俺は首を横に振った

「違う
もともと弱い男だったんだ
口先だけ大きくて、心が弱い…だから、エドワード1世に良いように扱われるんだよ
あの人は、鋭い人だから
人を見抜く力がある
先を見越す力がある
戦略に長けている
まさに神の子だよ」

俺の言葉に、アンドリューが肩を叩く

< 73 / 120 >

この作品をシェア

pagetop