私の夫は王になれない俺様

ロバート編

「ウイリアム様は、明日の朝、ロバート様にお会いになるそうですので
今夜はこのお部屋でごゆっくりお過ごしください」

ダグラス城の一室に、俺を案内した執事が口にした

会う気はないってわけだ

まあ、当たり前か

今夜は、ジョン・カミンたちと大盛り上がりだろうし、なあ

俺とのつまらない時間を過ごすより、楽しい殺人計画のほうがいい

「どうしても今夜は無理?」

俺は、懐から金貨をちらりと見せた

「上の了承を得なくていいんだ
ただ、どこの部屋にいるか…それだけを教えてくれればいい」

俺は金貨を一枚、床に落とした

執事の足もとで、金貨がきらりと光った

「この城のどこかで、楽しい時間を過ごしているんでしょ?
俺、混ぜてもらえなくて寂しいんだよね
ぜひ、仲間に入れて欲しいんだ」

俺はもう一枚、床に落とした

「どこにいるの? 君のご主人様は?」

さらにもう一枚、俺は金貨を手から離す

「…東の塔の最上階に…」

「そう…どうも」

俺は、にっこりと笑った

執事はさっと金貨を三枚、懐にしまうと部屋から出て行った
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