私の夫は王になれない俺様
俺は苦しさのあまり、ジェイミーの胸を押し返し始めた

こいつ、本気で俺を殺すつもりだ

くそっ

「イザベラに手紙を送った」

ジェイミーが口を開くと、やつの手の力が一気に緩んだ

俺は視界が白くなるなり、激しい咳に襲われた

身体を二つに折り、やっと肺に入ってきた酸素に脳がクラクラする

「知ってる」

「握りつぶしたのか?」

「いや…イザベラに渡した
もう読んでいると思うぞ」

「そうか」

ぼそっとジェイミーが呟くと、悲しい目をした

「どうして…イザベラなんだ
ハイランド貴族の娘はたくさんいるのに…どうして」

ジェイミーが悔しそうに下唇をかみしめると、石の壁を殴った

「それを俺に聞くのか?」

「答えは聞きたくない」

ジェイミーの視線がそれた

短剣を首に突き付けていたイサンが、すっとジェイミーから離れた

ジェイミーから、突き刺さるような殺気が消えたからだろう

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