三日月の雫
『永輝…さん…』
これでもかというぐらいに、袋叩きにされた。
手加減なんて、そんな生ぬるい言葉は通用しない。
意識が朦朧としているユウヤの隣に、僕は倒れこんだ。
目の前がかすんできて、痛みの感覚さえもなくなっていた。
……オレ、死ぬのかな。
そんなことさえも頭をよぎった時だった。
『てめぇら、ふざけたことしてんじゃねえぞ』
ドスのきいた低い声が響き渡った。
……啓介さんだった。
啓介さんは僕と同じように、たった一人でやって来た。
ただ、僕と違ったのは、たった一人で相手を全滅させたことだった。