三日月の雫
「おいしい!」
柚羽の部屋に来る前に、僕はコンビニでお菓子やジュース、酒を買って行った。
昔から気に入っている杏酒を柚羽に差し出すと、彼女は一気飲みに近い状態で飲み干した。
ニコニコと笑う柚羽の表情に、時折、困惑するような様子が見え隠れする。
僕がそれに気付く素振りを見せると、柚羽はまた笑う。
僕が突然やって来たこと。
それが原因なのだろうか……――。
「――柚羽ちゃん?」
ぼんやりとした眼差しで、僕をじっと見据える柚羽。
「……ねぇ、結崎さん」
何かを決断したかのように、その眼差しは強いものへと変わる。
「……結崎さんって、彼女いるの?」