三日月の雫
・指輪・
家に帰り着くと、僕はベッドに倒れこんだ。
眠いとか、疲れたとか、そんな疲労感ではなく、かんなが家に来ていなかったことの安堵感からだった。
……ぎりぎりセーフ…。
安心するあまり、僕はそのまま眠りについた。
「……ちゃん…、永ちゃん…」
遠くから僕を呼ぶ声が聞こえる。
ゆっくり目を開けると、かんなの顔があった。
「……おはよ。ごめんね、起こしちゃって」
「…あぁ、うん……」
枕もとにある携帯を手に取り、眠たい目をこすりながら時刻を見る。
もうすぐ9時になろうとしていた。
「今日、会社休みでしょう?一緒に買い物行かない?」