三日月の雫
「ありがとねっ、永ちゃん」
買い物を終えて車に乗る。
助手席に座ったかんなの指には、すでに指輪がはめられていた。
微笑みながら手をかざして、かんなは指輪をじっと見ている。
「ね、永ちゃんは何が欲しいの?」
「……特にないかな」
「つまんない!じゃあ、今日の夜はあたしが御馳走作ってあげるね」
「期待してるよ」
クリスマス。
大切な人と過ごす日。
なのに僕は、君に会えない。
そしてきっと、声を聞くこともできないんだろうな。