三日月の雫
第4章―時間―
・キス・
かんなとの関係をはっきり終わらせる時が近づく。
結果なんて僕には分かっていたし、啓介さんもまた分かっていただろう。
そして、深く関わっていない遼太郎でさえも分かっていた。
『永輝くん。姉さんは絶対に永輝くんから離れないよ』
時計の針が日付を変えようとしている深夜。
柚羽のアパートに向かおうとしていた僕に、遼太郎が電話してきた。
「うん、分かってるよ」
『オレ、何か協力できない?』
「……今はまだ…。でも、いずれは頼む時が来るかもしれない」
『遠慮せずに言ってくれよ?』
「あぁ」
幼い頃から一緒だった遼太郎。
イトコという間柄、血の繋がりはあるけれど、実の弟のようにかわいがってきた。
できることなら、僕のこんなゴタゴタに巻き込みたくはなかった。