三日月の雫

タバコを1本吸い終わったところで、タイミング良く柚羽のアパートに着く。



「こんばんは」



柚羽はいつも笑って、僕を迎え入れてくれた。

お互いの名を呼び合うことで消えていった距離感。

けれど、お互いを思い合う気持ちだけが今もなお完全にひとつになりきれない。



「……ねぇ、永輝」



いつものように、小さなテーブルを挟んで過ごす僅かな時間。

柚羽は僕が持ってきた杏酒を一口飲むと、改まった態度で話し始めた。



「永輝の彼女って、あたしに似てるの?」

「……えっ?」

「村岡くんや諒子、他のバイトの人がね、あたしにそっくりな人が永輝と一緒にいるところを見たらしいんだ」



年末年始の休みの間。

僕とかんなは毎日のように車で出かけていた。

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