三日月の雫
慌ただしくごった返していた街中。
誰か1人くらい、知り合いと会ってもおかしくはなかった。
「……そっか、聞いたのか」
何人もの人間に見られていた。
柚羽の耳に入った以上、隠すわけにはいかない。
「村岡たちが見たのは、かんなって子だよ」
いつかは、すべてを話さないといけないと思っていた。
「……かんな?」
だけど、まだかんなと切れていない今は、全部を話すことなんてできない。
話してしまったら……。
柚羽。
君は僕から離れてしまうだろう?