三日月の雫
「好きなの?」
「……嫌いじゃない」
かんなを嫌いなわけじゃない。
でも、非情だけれど、愛情なんてものはない。
正直………。
かんなさえいなかったら、と思うこともある。
かんながもう少し強い女で、僕を忘れることができたら、と……。
リストカットされるのがつらくて、かんなのそばにいる。
それなのに真夜中になるとかんなの目を盗んで、僕は柚羽の元へ行く。
「……意味わかんないよ」
そして。
僕の言動は、柚羽からすればあまりにも曖昧すぎて。
同時に、彼女を苦しめているのかもしれない。
「ちょっ……」