三日月の雫
僕は強引に柚羽を抱き寄せて、一方的にキスをした。
柚羽の心の準備も、気持ちも、すべてを無視して。
……いっそのこと。
君が僕のことを嫌いになってくれたらいいのに。
僕が、君のことを嫌いになれたらいいのに。
そして……。
「ごめん。オレは悪い人間だから――」
無理やりキスした僕を殴って、この部屋から追い出してくれたらいいのに。
それなのに君は。
少しの沈黙のあと。
「さっ、飲もう飲もう!…って、永輝は車だからジュースだけどねっ」
何事もなかったかのように、僕に笑いかけるんだ。