三日月の雫
「遼太郎くんはあんまり飲ませない方がいいわね」
「そうだなぁ」
ふと視線を落とすと、小さなクモが床を這っていた。
僕はティッシュで無残にもクモを捕まえると、そのまま丸め込み、その辺にあったコンビニの袋に押し入れた。
「……?」
袋の底に触れた手に、ねっとりとした感触が伝わる。
見ると、むき出しになった食べかけのキャンディが入っていた。
「……かんな。食べかけのアメをそのまま袋に入れるなよ」
「……はは、ごめんねー」
「……ったく」
「永ちゃん。……しよっか?」
突然、かんなが僕をベッドに誘う。
何の前置きも、そういう雰囲気すら感じさせずに。