三日月の雫
「はは、永輝さんらしいや」
そう笑うと、ユウヤは着古した特攻服の中からタバコを取り出し火を点けた。
僕と啓介さんが着ていた特攻服を、ユウヤは今もまだ身につけている。
すっかり色あせていて、綻びた裾には不器用な縫い目が目立っていた。
「ユウヤ、おまえいいかげん新しいの買えよ」
僕が失笑しながら言うと、ユウヤは大きく首を横に振る。
「ダメっすよ!これじゃなきゃ!」
「……オレが恥ずかしいんだよ。その服、もう何年前のだよ?」
「えーっと……」
すぐに答えられないほど、時間が経っていた。
「啓介さんも同じこと言うと思うけど?」
「そうっすかねぇ……。そんなに言うんなら……」