三日月の雫
――あれ?
部屋のテーブルの上に携帯が置いてある。
僕はガバッと飛び起きて、脱ぎ捨てたジャケットのポケットを探る。
いつも右ポケットが携帯入れの定位置になっているのに、その日に限って何も入っていなかった。
柚羽といつでも連絡が取れるようにと、必ず持ち歩いていたのに。
うっかりして、部屋に忘れたままだった。
テーブルの上に寂しく忘れられた携帯を手に取る。
「…………」
いつも携帯にロックをかけているのに、解除されている。
……いつ、解除したっけ…?
記憶を辿るけれど、ロックを解除した自分を思い出せない。