三日月の雫
かんなの理解できない行動。
解除されていた携帯電話。
いろんなことが頭を駆け巡る。
そんな中でも、僕は柚羽に会いに行く。
「これ、良かったらどうぞ」
柚羽のアパートに行く前に必ず寄るコンビニ。
レジで愛想を振りまく女の子が、キャンディの詰まったカゴを差し出す。
カゴの取っ手には、『2.14 St. Valentine's Day』と書かれたハート型のカードが付いていた。
僕は適当に2個取ると、「ありがとう」と言って店を後にした。
暖房の効いた暖かい店のドアを開けると同時に、冷たい空気が突き刺すようにして僕を包み込む。
なぜかそれが心地よくて、僕はゆっくりと車へと歩いて行った。