三日月の雫
かんなを僕に委ねた啓介さんに対して、こんなにもいい加減な関係を続けるべきではない。
かんなとの関係を絶とうとした日。
彼女は僕の目の前で、気が狂ったように、自らの腕にカッターを走らせた。
何度も、何度も。
ポタポタと滴り落ちる血を、僕は呆然となって見ていた。
その後も、少し時間を置いて、慎重に言葉を選んで切り出しても、かんなは同じ行動を繰り返した。
白く細い腕に次々と生まれる、痛々しい傷痕。
これを啓介さんが見たら、どんなに悲しむだろう。
――結局、僕は折れた。
これまで通りの関係を続ける。
でも、ヨリを戻すことはできない。
それだけはかんなにきちんと伝えた。