三日月の雫
しんと静まり返った部屋の中。
ベッドにある時計の、時を刻む音が不気味なほど大きく聞こえる。
「やだ、深刻にならないでよ」
黙り込む僕を見て、柚羽が笑う。
「ただ、不思議に思ってるだけ。そういう関係って、あたし、初めて聞いたからー」
僕の思いとは正反対に、柚羽はただ、笑うだけ。
でも僕にはその笑顔が精一杯の作り笑いに見えて、苦しかった。
かんなという存在。
僕がかんなのそばにいる理由。
なかなか断つことのできない関係。
すべてが柚羽に辛い思いをさせているのだと……。
もう、話をうやむやにすることなんてできない。
「そうだね。不思議に思うよね」