三日月の雫
・決心・
家を出て遼太郎を送った。
そして柚羽のアパートへ……。
僕は猛スピードで走り去ったかんなの車を見て、ずっと後をつけられていたことに初めて気付いた。
追いかけるようにして、僕も猛スピードで車を走らせる。
かんなを見失わない、追いつけるという絶対の自信があった。
どこまでも後を付いて来る僕の車。
観念したのか、かんなは営業時間の終えた本屋の駐車場に入った。
僕の車が続いて駐車場に入り、止まると、かんなが車から降りてきた。
僕も車から降りて、かんなの元へと歩いていく。
「あの女といつも会ってたんでしょ!」
かんなは僕に詰め寄り、胸元を思い切り突き飛ばす。
反動で身体が一瞬グラリと揺れ、僕は倒れないように足を踏ん張った。
「コレ!」
かんなはコートのポケットからカギを取り出し、僕の目の前に突き出した。