三日月の雫
それは、柚羽のアパートのカギだった。
「なんでそれを……」
なくしたものとばかり思っていただけに、僕は目を疑った。
カギを奪おうとすると、僅かなタイミングでかんながカギをポケットに入れる。
「あの女とはいつからなの?」
「………」
「…だいたい、あの女も図々しいわ!あれだけ忠告したのに…」
「……忠告?」
かんなの『忠告』という言葉を聞いて、今度は僕がかんなに詰め寄った。
「なんだよ、それ。忠告って、柚羽に何をした!」
「柚羽?そんな呼び方しないで!!」
僕の質問には答えず、かんなは金切り声で怒鳴りつける。