三日月の雫
「精神安定剤飲ませて、今は寝てるよ」
かんなの精神状態が普通でないことを知る。
僕は黙って下を向いた。
「……あの子のこと、かんなに知られたな」
「………はい」
「ホントに、すまない」
啓介さんが僕に頭を深く下げる。
僕は戸惑うものの、啓介さんに対して気遣う言葉さえも出てこなかった。
「かんな本人に聞いたよ。彼女に対して酷いことしたらしいな、あいつ」
「………」
僕と柚羽が会うことで、傷ついたのはかんなだけじゃなかった。
柚羽も、傷ついていた。
それなのに、どうして柚羽は僕に話さないのだろう。
……どうして…。