三日月の雫

遼太郎の部屋の床。

見たのは何年ぶりだろう?


僕たちのために一生懸命掃除した遼太郎の姿が目に浮かび、微笑ましくなった。



遼太郎のベッドに腰を下ろすと、携帯が鳴る。


………かんな…?


やっぱり、うまくいかないものなのかと絶望しながら着信表示を見ると、遼太郎からだった。



「もしもし?」

『あ、永輝くん?今、柚羽さんのアパートなんだけどさ』

「あぁ、どうした?」

『彼女、警戒してドア開けてくれないんだよ。永輝くんから電話してもらえないかな?』



困ったように遼太郎が言った。

そりゃそうだよな。

警戒するに決まってる。

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