三日月の雫
やっと会えた日が、最後になるなんて。
柚羽と会って、何を話すべきなのか……。
――ピンポーン……
玄関のチャイムが鳴る。
遼太郎の家から柚羽のアパートまでの距離を考えると、予想以上に早いなと思った。
きっと遼太郎のことだから、車を飛ばしまくってきたんだろうなと思い直す。
僕は急いで玄関に走り、ドアを開けた。
――いったい、どこまで……。
神様ってヤツは僕を見放すのだろう。
そこにニコニコ笑いながら立っていたのは、待ち続けていた彼女なんかじゃなく。
「……かんな……」
今のこのときを一番邪魔されたくない相手だった。