三日月の雫

「かんな、帰ろう」



僕は自分のジャケットとかんなのコートを無造作に拾い上げ、彼女の手を掴んだ。

かんなは僕の胸に突然飛び込んで来る。



「かんな、やめろって」

「……あたしのお願いごと聞いてくれたら、帰る」

「……なんだよ」



聞くまでもなく、予想がつく。

かんなは僕のシャツのボタンをゆっくりと外していく。


半分までボタンを外すと、僕の胸元に唇を這わせ、思い切り吸いついてきた。



「……っ…。かんなっ…」



かんなの両肩を掴み、力ずくで僕はかんなを拒んだ。

かんなはイタズラっぽく笑いかける。

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