三日月の雫
「……お客様みたいね?」



すべてお見通しだと言わんばかりの、かんなの冷たい笑み。

僕は黙って玄関へと行き、ドアを開けた。



「…永輝!」



あれほど待ち続けた、大好きな彼女なのに。


今は、帰ってほしいと願う自分がそこにいた。


僕は靴も履かずに外に出ると、急いでドアを閉めた。



「かんなが来てるんだ」

「…えっ?」



柚羽の笑顔が見る見るうちに凍りついた。


やっと会えたのに。

僕も柚羽も、きっと同じことを思ったに違いない。

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