三日月の雫
柚羽の視線が、かんなの胸元と、肌蹴たままになっている僕のシャツの胸元にいく。
僕はそれを目の当たりにして。
ようやく、かんながねだったお揃いのキスマークの意味が分かった。
「あたし、帰るね」
泣き出しそうになるのを堪え、柚羽は力の限り笑う。
「柚羽!」
「ごめんなさいねぇ」
追いかけようとする僕の腕をかんなが思い切り掴んだ。
真っ暗な闇の中に走り去った柚羽の後ろ姿は、あっという間に見えなくなってしまった。