三日月の雫
許しを請い、かんなと共に遼太郎の家を後にする。
かんなはすんなりと自分の家に帰って行った。
僕は柚羽の携帯に何度も電話する。
呼び出し音がむなしく鳴るだけで、柚羽の声を聞くことはできなかった。
無理もない。
かんなのあんな姿を見れば……。
僕はベッドに倒れこむようにして寝転がった。
しんと静まり返った部屋。
目を閉じれば、柚羽の泣き出しそうな顔が浮かぶ。
そのまま僕は、いつの間にか眠ってしまった。
――ガチャガチャ…!
けたたましい大きな音で目が覚める。
起き上がると同時に、「永輝くん!」という怒鳴り声と共に部屋のドアが乱暴に開けられた。