三日月の雫


『永ちゃん、浮気しないでね』



バイトの初日。

かんなは心配そうに手を振りながら僕を見送った。


袖から覗く無数の傷痕。

すっかり褪せていて、そこに新しい傷はひとつもなかった。


関係を続けることによって、かんなはリストカットを止めた。

僕は啓介さんに心配をかけなくてすむと安心した。

< 18 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop