三日月の雫
「遼太郎…?」
ぼんやりとした視界に興奮した遼太郎が映る。
遼太郎はドスドスと大きな足音を立てながら、ベッドにいる僕の胸元を掴み、力任せに殴りつけた。
「……っ…!」
僕の身体はベッドから転げ落ちる。
頬と身体、両方に痛みが走った。
「……にすんだよっ!」
突然殴られたことで、僕の怒りが沸々と沸き起こる。
「ハンパなことしてんじゃねぇぞ、てめぇ!」
僕よりも遼太郎の怒りの方が格別に大きいことに気付く。
いつも僕を慕っていた遼太郎が、荒々しい口調で僕を罵倒し、殴るなんて初めてだった。