三日月の雫

「遼太郎…?」


ぼんやりとした視界に興奮した遼太郎が映る。

遼太郎はドスドスと大きな足音を立てながら、ベッドにいる僕の胸元を掴み、力任せに殴りつけた。



「……っ…!」



僕の身体はベッドから転げ落ちる。

頬と身体、両方に痛みが走った。



「……にすんだよっ!」



突然殴られたことで、僕の怒りが沸々と沸き起こる。



「ハンパなことしてんじゃねぇぞ、てめぇ!」



僕よりも遼太郎の怒りの方が格別に大きいことに気付く。

いつも僕を慕っていた遼太郎が、荒々しい口調で僕を罵倒し、殴るなんて初めてだった。

< 180 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop